新年特別講演会
和を拡げる開発途上国への 支援を通じた共生への道
主催  あきしま・街づくり市民会議・なかがみ 国際交流部会
2008年・平成20年1月25日(金)午後7時〜9時
昭島市民交流センター1F講習室
(日英二ヶ国語による)


講師:独立行政法人国際協力機構(ジャイカ)
   人間開発部第3グループ母子保健チーム長
   小林 尚行さん



はじめに!
今回のテーマは国際支援です。
国際支援といえばジャイカが有名です。
しかし、名前は知っているけれど、その内容について
端的に回答して下さいと言われたら・・・

それではお答えいたします。
「詳しくはジャイカホームページをご覧下さい。」

さて、講師の小林尚行さんはジャイカの
  人間開発部第3グループ母子保健チーム長として
途上国の各地において約6年
間活動されています。
このように、ボランティア精神に満ちた考え方は
わたくしが思うに、学生の時代から、芽生えていないと、
なかなか達成できない生き方だと思いました。
わずかな時間でありましたが、小林さんの講演は
心に響くものがありました。

講演内容について、レポートした内容の一部を紹介いたします。


取材・てやんで一徹



150カ国を超える途上国

国連加盟国は191ヶ国
世界の国々で先進国は約40ヶ国ですから
残りの150ヶ国は途上国ということです。
そこには世界の人口の約8割が住んでいます。
途上国は、「紛争」「貧困」「環境悪化」「人口増加」「食糧不足」
「教育格差」「ジェンダー問題(社会的性差)」など、さまざまな問題を抱えています。
JICAは、ODA、なかでも「技術協力」を担う中核的実施機関として、
こうした地球規模の課題にも取り組んでいます。
そのうちの100ヶ国はかなり貧困と、いわれている国々なのです。

貧困な国とは?
(1)日々の食事に困っている
食べるものがなく、やせ細った子供達の映像がテレビに映し出される事があります。
ジャイカは食物の支援などもしていますが、それは飢饉や災害時の緊急支援であります。
自立の道をを切り開くためにはリーダーを育成し、開発援助をしなければならないのです。
(2)お金がない
生活するには食べる事だけでなく、必要な物資が必要になる訳です。
その物資を購入するためにお金が必要になりますが、お金を手に入れる手立てがありません。
そこで、物を生産し物流させるノウハウの育成支援をジャイカはしています。
経済の基盤をつくるには生産した物を市場に出す、ノウハウの支援。
(3)学校がない
建物をつくる。
学校をつくる。
道路工事等の支援。



子供達の学校教育を促進させる支援。

学校教育においては建物がなくても青空学校などで育成が可能でありますが、
適切な支援としては先ず施設を設営しなければ、継続的な教育は困難であります。
そこで、学校をつくり、教育者の育成をジャイカは支援しています。

(4)病気になっても病院がない
アフリカの中心地、都心とその近郊は病院が充実して来たようです。
しかし地方に行けば行くほど、施設がなく、ジャイカではドクターを派遣している。
地方に出張して診療するための施設。
地方では病気になっても、お金がないので、なかなか病院に行きません。
したがって病状が悪くなってから、診療を受ける人が大半をしめています。
現地住人の間では、病院に行くと死ぬという噂が拡がっています。
(5)不衛生な生活から伝性病が流行してしまう
アフリカでは子供の死亡率は高い。
伝染病を防ぐ知識教育をしている。
マラリアを防ぐため
かやを提供しているジャイカ。
しかし肝心の子供に使われず、
父親が使ってしまう事がしばしば・・・
教育面でも支援が必要なのです。



小林尚行さんの場合
小林さんの講演で心に熱く響いたワードがありました。
そのワードは「ミッション」でありました。
ミッションとは使命感であります。
人はこの世に生まれてくれば、何か役割をもって生まれてくるのだと思います。
しかしながら、アンテナをしっかり掲げていないと、捉えられないまま、過ごしてしまいがちのようです。
若い頃に、気がつく人もいれば、老齢になり想いにかられる人もいるでしょう。
いずれにしても、生きている間のわずかな事と考え深く思いました。

さて、途上国では出産時の母子死亡率が非常に高いようです。
この問題に、取り組んでいるのが小林さんです。
途上国では情報不足のため、ドクターが適切な診療ができない
現状があるようです。
そこで母子手帳の導入を指導して、出産時の死亡率の低下につなげる活動をしています。
母子手帳の基礎知識講習会の模様。

お産婆さんなどの人材育成も重要な課題です。
医療機関と、お産婆さんの協働により、
出産時の死亡率を下げる活動を小林さんはされています。
その他、避妊・エイズに関して指導のできるリーダーの育成など、
活動は広範囲に及び、多忙な毎日を過ごされています。

インフラから人材開発へ
アフリカ途上国は内戦により、街は崩壊し道路は破壊される一方で、、地方は
道路が未整備の状態でした。
日本の途上国支援は主に2002年頃まで、国に対する援助が中心でした。
しかし、今では民生に対する援助重点にシフトし、人材開発・教育・街づくり支援政策と、
内容を変えて支援に取り組んで行きました。
経済支援のトップランナーとして翌年の2003年10月、
ジャイカは新たに独立行政法人国際協力機構になりました。


戦後日本も援助を受けた
日本も第二次大戦後、国際社会から多大な援助を受けて経済成長を遂げました。
戦後まもなくは、ユニセフのような国際機関や海外のNGOから食糧・衣料品などの物資援助を受け、
伝染病抑制のワクチンや医療機器も提供されました。
高度経済成長を支えたインフラの整備も、国際社会の支援で実現しています。
東海道新幹線や名神高速道路などは、世界銀行から貸付を受けて建設されたもで
その返済を終えたのは、1990年代に入ってからです。
日本は、援助を受けた経験のある数少ない先進国でもあります。
今の日本は恩返しする立場になりました。
日本は海外からの人材や技術を広く受け入れ、自助努力で発展を遂げた歴史を持っています。


JICAとは「Japan International Cooperation Agency」の略で、
正式名称は「独立行政法人 国際協力機構」。
2003年10月、前身の「国際協力事業団」を引き継ぎました。




おしまいに
この取材を通してジャイカのホームページを覗いて見ました。
アフリカは確かに途上国で、貧困なのだと痛感しました。
しかし、日本が経済大国で豊かな国だとも、思えないのです。
電気・ガス・水道もない地方アフリカの人たちの生活
でもそこには自然と調和した、人間らしさがあるような気がしました。
途上国が豊かな国に発展していくことは決して不可能ではないと感じました。
あと少し、豊かな国づくりは、紙一重の現実だと思いました。
ほどほどの利便性と、ゆったりとした自然環境の中で、暮らす途上国の街づくりに
開発援助をしているジャイカを応援・支援しましょう。
取材・てやんで一徹

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